西都原考古博物館は宮崎県西都市の西都原古墳群にある公立の登録博物館です。実際に発掘途中になっている古墳の様子を見学でき、勾玉づくりなどの複数のワークショップを予約なしに体験できる施設「古代生活体験館」が併設されている博物館です。また、館内には関連書籍を閲覧できる図書館も併設されています。
かなり規模の大きい博物館であるにもかかわらず入館は無料。またかなり早い時期からICT技術を使った展示を導入したり、映像を使った先進的な展示を行なっていることでも印象に残っていた館でした。
たまたま帰省のタイミングで時間を作って見ることができたため、展示を見てきました。
外観はかなり新しく、モダンなイメージ。入り口を入るとミュージアムショップと受付があります。
入館は無料で、入り口でバーコードの付いているパンフレットを渡されるのですが、こちらは館内の端末で展示に関する情報を自分でアーカイブし、紐付けられたIDとパスワードを使って自宅からその情報を閲覧できるというもの。
10年以上前から導入されていてかなり先進的なイメージを持っていました。
最近では、スマートフォンのアプリも導入されたようで、館内での情報閲覧に利用できました。
閲覧できる内容は日本語のキャプションに加えて、外国語のキャプションなども。館内のいたるところにQRコードが用意されています。
ICT技術の活用に加えて印象的なのは、展示の方法です。
館内にはこのようなサインがいたるところにあります。
これは、音声ガイドやハンドオン資料・順路のあることを知らせるためのもので、館内で有料で貸し出されている音声ガイドが使用できるスポットや触れる資料のある場所を示しています。
このような形で触ることができる資料がこれでもかと置いてあります。上の写真の石器はサインが出てるので触って良いものと分かりますが、本当にいいの?と心配になる感じで置いてあります。めちゃくちゃいっぱいあります。
映像の使い方も画期的で、素地の土器に縄文をつける様子を投影しているものが特に印象的です。
大きな展示室内では特別展の開催もあり、出土品を中心に動物の資料を展示する「共に生きたもの〜ムシと動物の考古学〜」の会期中でした。
こちらは中世の資料なども交えて、動物に関連した出土品を紹介する展示で、中でも埋葬に関連した「ウジ蛹痕」に関する展示は、初めて知ったため面白かったです。犬やイノシシなどの哺乳類の表現も素朴で可愛らしかったです。
同館の上の階は展望台になっており、西都原古墳群の様子が一望できるようになっていました。ポコポコと出ているのは全て古墳です。
上階にはカフェもあり考古博物館を意識したメニューを楽しむこともできます。
また、併設の「古代生活体験館」では様々なワークショップを予約なしで行うことができます。
値段は全て500円以内です。時間をかけてじっくり取り組めるものばかりなので、本当に材料代のみなんでしょう。この時は閉館間際に行ったため、お話を聞くのみになってしまいました。
ほかにも発掘途中の遺構をすべて建物で覆って展示している施設(内部がかなり強烈な土の臭いに満ちている)があったり、
環状に防壁のようなものがある「鬼の窟古墳」のなかを見ることができたり、近くにはビジターセンターがあったりと観光的にはかなり充実した施設になっています。
古墳群まで行けるバスはあるようですが、古墳群内もかなり広く移動がいちいち大規模なため、訪れる場合にはレンタカーなど車を使うことをおすすめします。