博物館での資料の扱いについて

博物館実習ではときに、展示替えなどの作業で資料を実際に扱う場面が出てきます。

博物館で保存されている資料は、現状を永く保ち残していくためのものであるため、言わずもがなその扱いには細心の注意が必要です。

この記事では、博物館での資料の扱いについて注意すべきことをお伝えします。

 

手は「裸」に

資料を扱う前に自分の手を見てください。時計や指輪などのアクセサリーはしていませんか?ネイルアートはついていませんか?また、爪は伸びすぎていませんか?

装飾物や伸びた爪は資料を傷つける要因になります。

また、手はベタついていませんか?仮に食事をしたとしたら、その後手は洗いましたか?

手の皮脂や付着した汚れなどは資料の傷む原因となります。

資料を扱う前には手は「裸」の状態にしておきましょう。また、資料の上では飛沫を避けるため、絶対に会話はしないようにしましょう。咳き込んだりくしゃみももってのほかです。

手と同様にうがいなどをして口の中を清め、できればマスクを着用するようにしましょう。

 

「丁寧さ」>「速さ」

実際に資料を扱うことになったら、優先されるのは「丁寧さ」になります。与えられた作業をはやく終わらせることに気を取られて、資料を傷つけてしまっては本末転倒です。

 

音が決め手!

作業の丁寧さをはかるうえで決め手となるのは「音」です。資料を持った時、あるいは置いた時に資料が手や台にぶつかる音がするということは、音が出た分の衝撃が資料に伝わっているという他ならぬ証拠です。持つときも置くときにも、資料の「音」がならないように注意しましょう。もちろん展示台の上をすべらせるなどの行為も厳禁です。

 

資料は両手で扱う

資料を運ぶ時には必ず両手をつかって、しっかりと持ちましょう。資料を持つ時には手袋を忘れずに。例えば、隣同士の資料の位置を交換する場合にも両手でひとつずつ資料を動かすような丁寧さが必要です。

資料を持って歩く場合にも、足元に気を払いながらゆっくりと歩きましょう。資料をまとめて仮置きしているような場所がある場合には、置いてある資料を蹴飛ばさないように細心の注意が必要です。

資料を運ぶ時には周りに資料を運ぶことを知らせ、一度にふたつ以上の資料は動かさないようにしましょう。

 

まとめ

博物館実習を受講している学生にとっては、何を今更……という知識だったかもしれません。しかし、実際に実習の場で疎かにされていたり、守られていないのもこれらの大原則です。

資料は博物館にとっては財産で、これから永く守っていく必要のあるものたちです。そんな財産を、みなさんに信頼をおいて触らせてもらえる以上、扱う上では資料に敬意をもって丁寧な取り扱いを心がけましょう。